2015年7月29日水曜日

偶々729




酷暑とて傍に一歩もうごかざるひたぶるきみのゐてのびゆけるわれ

幕末の蘭学者の蔵書を二十万で買ふただ学問へのひたむきさのりうつれ私に

大切なひとをうしなつたんだと声に出し叫んでよいか夏の水の迅さのなかで

滴る汗は三億年後に琥珀となるか詩人が言つたんだきつとさうなるまばゆき夏の

ひふみよとうたに鎮まることありて儀式のやうにひとり祝詞書く

ひとふさのぶだうのむらさきの諧調ここちよくみれるゆふべもありて

むらさきの木槿のはなはしづかにさけりひとかへる薄明のときにも

そばやめざしむらみちをゆくそばよりもあなたからふくかぜをしりたい

灼熱の鉄工所こそふさわしき場所か山脈に眠れる金属類が親しみてあり






2015年7月20日月曜日

偶々720



  偶 々
唐黍や飛行少年ロケツト噴射設計圖
廻廊のむこふにかすかかなかなとゐま
唐黍やいつまでもロケツト描いてゐる
ぼんぼん松本ぼんぼんぼん北松本驛で待つてゐるよ
夏の雲お城までノンストツプでかけをりる
          (松本の夏の思ひ出)

2015年7月10日金曜日

偶々709


偶 々
銀漢やさつきまであらやしきが触れてをり
むらは梅雨に沈み麹しづかに酵す
かぼちやにてとうきびもにてゆふあかね
はるかなた過去生がふと梅雨夕焼
余執あれどきつと七代後の夏によみがへる

千年の夏社八幡太郎が覡(げき)の跡
夏常陸八幡背負ふ太郎ゆく
銀漢や山上まで昇りし鮑の神(金砂山)
為朝が笹もて走る童かな
(奥常陸で笹の葉は魔よけとされる)
梅雨寒のかまくら悪口流罪とす



2015年7月3日金曜日

偶々702


夏よ昔鎌倉武士が国を守つたんだ知つてゐるか
しちぐあつのあさなつたうたまごごはんにはい
やまかげに天隕隠る湯殿垢離
太古よりの砂鉄の濱の朱夏かな(麻生より製鉄所ながめつ)
やまぼうし一点明し古座敷(招かれて)
蓼の雨土塀もくづるおもさかな